プルアップ
プルアップとは、信号の電圧を安定させるために使われる方法のこと。
プルアップでは、電源と信号線の間に抵抗を入れるため、「プルアップ抵抗」とも呼ばれます。
「プルアップ抵抗」は、英語で「pull-up resistor」と表記され、pull-up(プルアップ)には「吊る」という意味があります。
つまり、電子回路で「浮いている状態」を避けるための抵抗を指します。
信号線がどこにもつながっていない状態は不安定になるため、マイコンの入力端子は、電源またはグランドに接続しなければなりません。
つまり、入力端子が「浮いている状態」は回避されるべきなのです。
この「浮いている」もしくは「オープン」と呼ばれる状態は「ハイインピーダンス状態」とも呼ばれます。
「浮いている状態(ハイインピーダンス状態)」では、風が吹いたり指で触れたりするだけでも大きく電圧が変化します。
言い換えると、ノイズの影響を非常に受けやすい状態と言えます。
そのため、デジタル回路における各信号は電圧が高いもしくは低い状態でなければいけません。
つまり入力が「浮いている状態」とならないように、電圧を高いHigh状態にするための「プルアップ抵抗」が使われるのです。
入力がない場合に電圧をLow状態にしておくものはプルダウン抵抗と呼ばれます。
「プルアップ抵抗」によって信号が安定するのは、グランドや電源との抵抗(インピーダンス)が下がるからです。
抵抗(インピーダンス)を下げるほどプルアップの抵抗には大きな電流が流れることになり、その結果、ノイズの影響を受けにくくなります。
もしノイズに強い信号にしたい場合は、低い抵抗を使って強くプルアップします。
ただし、低い抵抗を使うと電流は多く流れるため、消費電力は大きくなってしまいます。
しかし、消費電力を抑えるために高い抵抗を使うと、ノイズには弱くなります。
ノイズと消費電力のどちらを優先するかは回路や装置によって検討するといいでしょう。
補足として、マイコンの多くは、pull-up(プルアップ)、Pull-Down(プルダウン)抵抗は、内蔵されていて、プログラムで設定できるため、未接続の入力端子でもpull-up(プルアップ)、Pull-Down(プルダウン)抵抗を付ける必要性がない場合も多くなりました。
部品点数を減らす事ができ、コストの削減や実装時のトラブル回避などのメリットもあります。
但し、 pull-up(プルアップ)、Pull-Down(プルダウン)抵抗を付ける必要性がある端子は、データシートに記載されている場合もありますので、マイコンのデータシートをしっかり確認することをおすすめします。
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