耐トラッキング性
耐トラッキング性とは、トラッキングを起こしにくい耐性のこと。
絶縁物の表面に導線路(トラック)が形成されることをトラッキングと呼びます。トラッキングが起こると絶縁破壊(ショート)が発生し火災や放電の危険が生じることがあります。したがって、耐トラッキング性は固体絶縁材料に要求される特性のひとつになります。英語ではTracking Resistanceと表記します。
耐トラッキング性を示す指標として、比較トラッキング指数(CTI)があります。これは絶縁物の表面における絶縁に必要な沿面距離を決定する際の重要な要素になります。比較トラッキング指数(CTI)は耐トラッキング性試験で決定します。
耐トラッキング性の試験方法としては、絶縁物表面に白金電極を置いて電圧を印加し、塩化アンモニウム0.1%溶液を30秒ごとに垂らしていき、50滴垂らしても5つの絶縁物にトラッキングが起きない値を確認します。もし、5つの絶縁物に500Vを印加した状態で50滴垂らしても発火しなかったのに525V印加した際にトラッキングが発生した場合は、CTIは500といえます。
また、耐トラッキング性を示す指標には、CTI(比較トラッキング指数)の他にPTI(保証トラッキング指数)があります。CTIは材料の特性や比較に用いられるのに対し、PTIは材料や加工部品の品質管理の手段もしくは製品受け入れの基準として活用されています。
耐トラッキング性が高いものは、ポリエチレン、架橋ポリエチレンなどがあり、低いものにはPPSなどがあります。有機物の絶縁体は耐トラッキング性が低いため、無機物の絶縁体を用いたり無機物を充てたりすることで耐トラッキング性を高めることができます。
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