ノイズ対策の用語集

用語集

オーバーシュート/アンダーシュート

オーバーシュート/アンダーシュート

オーバーシュートとは、矩形波の立ち上がり部分で、基線を超えてしまう現象のこと。

オーバーシュートでは波形が定常値を一度超えてから定常値に近づきます。

一方で、矩形波の立ち下がり部分で下方向に突出する現象についてはアンダーシュートといいます。
英語でundershootと表記します。

矩形波の回路では、オーバーシュートとアンダーシュートはどちらも起こりやすくなります。
オーバーシュート(アンダーシュート)がICの最大定格を超えてしまうと、
内部回路の破損を招いたり回路の寿命を短くしたりする原因となりますので十分に注意する必要があります。

オーバーシュート(アンダーシュート)は、ドライバICの出力インピーダンス、伝送線路の特性インピーダンス、
レシーバICの入力インピーダンスを揃えることで抑えることが可能です。

オーバーシュート(アンダーシュート)が起こる原因は、ノイズの重なりや信号の反射です。
デバイスのドライブ能力が高くても起こります。
オーバーシュート(アンダーシュート)が大きくなりすぎると、デバイスの信頼性が損なわれる恐れがあります。
抑制する一般的な方法として、信号線の上にダンピング抵抗を直列接続する方法があります。

ダンピング抵抗は、出力ピンの近くに置くとよいですが、抵抗値が小さい場合ではオーバーシュート(アンダーシュート)を抑制しきれない場合がありますので最適な値を設定します。

デバイスのドライブ能力が高く、接続先が1つだったり、配線が短い場合はほとんどの場合にオーバーシュート(アンダーシュート)が出ますのでダンピング抵抗の追加が必要になります。

ドライブ能力が低い場合は、ダンピング抵抗が必要のない波形になることもあります。
接続する入力デバイスが多数あって、プリント基板の配線が長いなど負荷の大きい要素がある場合は、ドライブ能力が大きくないと波形がなまってしまいます。

デバイスによっては端子のドライブ能力(駆動能力)を調整できる場合もあります。
これにより、適切な波形にすることが可能です。

近年は信号の高速化に伴って、ドライブ能力の大きいデバイスが増えて来ています。
ドライブ能力が大きくないと信号の急峻な立ち上がりや立ち下がりが出来ないからです。
一方で、省電力の方向性でドライブ能力の小さいデバイスもあります。

デバイスを選ぶ場合にそのドライブ能力を意識して選定しないと、回路に合わない物になっているかもしれません。

ドライブ能力不足はデバイスを変えなくてはならないですが、ドライブ能力が大きい場合は
適切なダンピング抵抗を接続する事でオーバーシュートを抑え、良い設計が出来る事もあります。
ですが、ここでダンピング抵抗を付けなかったり、適当な値(例えば全部 22Ω)にしていたりすると、場合によっては激しいオーバーシュートが出ているかもしれません。

オーバーシュートは隣接信号にクロストークしてしまったり、電源を汚くしたり、EMIのレベルを上げてしまったりと良い事は何もありません。

最近ではSI(シグナル・インテグリティ)シミュレーションを利用して、ダンピング抵抗の適切な値を計算すること
ができます。これにより、プリント基板上で抵抗を付け替えながら波形を確認する手間が省けます。

ダンピング抵抗値を決めるために、プリント基板に抵抗を付け替えながら波形を確認する必要がなく
SIシミュレーションで簡単にダンピング抵抗の値を計算できるようになっています。

測定方法が正しくないため、プローブ接続の影響によってオーバーシュート(アンダーシュート)が誤って観測されてしまう場合があります。
その場合は、プローブの影響を抑えるためにアクティブプローブを使用して測定すると良いです。
さらにプローブのGND線をできる限り短くするといいでしょう。

その他ノイズ対策に役立つ用語はこちらからご覧ください↓
https://www.noise-counterplan.com/glossary/

シミュレーションデモ

ノイズ対策ハンドブック無料プレゼント!

このサイトは、ノイズに強いプリント基板を設計・開発する技術者のためのサイトです。

用語集一覧に戻る

ノイズ対策チャンネル