ノイズとは
昨今は電子機器の高速化、さらにWi-FiやBluetoothなどを搭載した小型のモバイル機器の普及が進むにつれて、高速伝送線路や高周波回路などが使用されるケースが多くなり、それに伴ってノイズ対策が大きな問題になっています。
電子機器 におけるノイズは様々なものがあり、電磁波の不要輻射や、信号ラインで言えば目的とは違う不要な信号、電源ラインでいえばサージや電源のゆれなどもノイズに分類されます。
このノイズが本来必要な信号に畳重し振幅が十分に大きければ、元の信号を埋没させ、結果として電子機器の誤動作に繋がることがあります。ノイズによる電子機器の影響は、意図しない誤動作や、外部への干渉を引き起こすなどがあり、機器の正常な動作が妨げられ問題となることがあります。
ノイズの分類
一口にノイズといっても様々な種類があることは述べましたが、それでは、いわゆる電子機器の動作上問題となるノイズというものにはどのような種類があるのでしょうか。
ここでは電子機器を設計する上で考慮すべきノイズについて簡単に説明します。
ノイズというものは言い換えるとEMC(電磁環境適合性)とも言われます。
このEMCというノイズの概念から、さらに大きく2つに分類することができます。
一つは、ノイズを発生するEMI(Electro Magnetic Interference、電波妨害)、もう一つは外部からの電磁波によって機器が影響を受けるEMS(耐障害性)です。
EMIはさらに放射妨害と伝導妨害に、EMSは放射イミュニティと伝導イミュニティに分類することができます。
ノイズについて
つまり、ノイズというものは内的要因から発生するものと、外的要因から影響 を受けるものとに分類することができ、ノイズ対策というものはその双方に対して対策をとる必要がある、ということになります。 また、ノイズ対策にあたってはそのノイズが伝わる経路である「伝播経路」についても考慮する必要があります。伝播経路に関しても大きく2つに分類すること ができ、一つは、導体を通して伝播するノイズ(伝導ノイズ)、もう一つは、空間を通して伝播するノイズ(空間ノイズ)です。
伝導ノイズにはノーマルモードノイズ、コモンモードノイズに分類することができ、双方ともにケーブルやパターンなどの導体を通して伝わるノイズの総称です。
導体を介して必ずノイズ源が導通しているため、この伝導ノイズの対策に関してはその導通部分に何らかの対策を施せばよいのでイメージしやすいノイズで あると思います。
一方でよりノイズ対策が厄介なのは空間を伝播する空間ノイズです。
空間ノイズは放射ノイズ・静電結合ノイズ・電磁結合ノイズがあり、文字 通り導体ではなく空間を介して伝播してくるタイプのノイズなので、その対策にあたっては、空間ノイズの影響を受けない対策、あるいは空間ノイズを発生させ ない対策の双方を検討して対策を取る必要があります。
通信速度が向上し、無線化が進む昨今の電子機器のプリント基板設計においては、これらのノイズを考慮して設計を進めないと機器が誤動作したり動かなかったりといったトラブルが生じる可能性があります。