今回はリジットフレキシブル基板の特徴について解説いたします。リジッドフレキシブル基板とはリジッド基板とフレキシブル基板を組み合わせた基板になります。
リジッド基板は一般的な基板として広く用いられていてるもので、硬質な基板です。材質に紙やガラス布を使用しておりフェノール、エポキシなどの樹脂が組み合わされます。
フレキシブル基板は屈曲性に優れた柔軟な薄いプリント基板でフレキシブルな特性を持っています。FPC(Flexible Printed Circuits)とも呼ばれています。ポリイミドまたはポリエステルフィルムを基材としており、レジストの代わりにカバーレイフィルムが使用されます。
フレキシブル基板の表裏をリジッド基板で挟む構造で、リジッド層とフレキシブル層を電気的導通を持ったスルーホールで接続します。リジッド基板とフレキシブル基板が一体化しているため、基板間の接続用コネクタが不要になります。リジッド部には部品を実装し、フレキシブル部は屈曲することができます。コネクタが不要となる為、小型化や薄型化、高密度化が可能です。
メリット
●柔軟性
リジッド部分とフレキシブル部分を組み合わせることで、複雑な形状に対応することが出来ます。限られたスペースや特殊な形状の製品へより効率的に対応することが出来ます。
●高い信頼性
リジッド部分とフレキシブル部分が一体化しているため、接続部分や接点が少なくなります。その結果、信号伝達や電気的なノイズの問題が減少し、信頼性の向上が期待できます。また、部品数を減らすことで、組み立て工程や故障リスクも低減されます。
●小型化と軽量化
リジッドフレキシブル基板は、小型で軽量な為、電子機器や携帯デバイスなどの小型化に適しています。また、柔軟性を持つため、曲げたり折りたたんだりすることが可能であり、設置や取り付けの柔軟性も高まります。
●耐振動・耐衝撃性
リジッドフレキシブル基板は、振動や衝撃に対して優れた耐性を持っています。そのため、自動車や航空機など、過酷な環境下での使用に適しています。また、振動や衝撃による配線の断線や接触不良のリスクが低くなります。
デメリット
●製造コスト
リジッドフレキシブル基板の製造は、通常のリジッド基板に比べて複雑で高度な技術を要します。リジッド部分とフレキシブル部分を組み合わせるため、素材や製造プロセスに特殊な要件があります。そのため、製造コストがリジッド基板に比べて高くなります。
●設計の複雑さ
リジッドフレキシブル基板の設計は、リジッド部分とフレキシブル部分を組み合わせるために複雑になります。特に、曲げや折り曲げの箇所や接続部分など、構造的な配慮が必要です。設計の複雑さは、開発時間や設計コストに影響を与える可能性があります。
●可用性と供給の制約
リジッドフレキシブル基板は、一般的なリジッド基板と比べて市場での普及度が低いため、特定のサプライヤーや製造業者に頼る必要があります。そのため、需要が急増した場合や特殊な要件を満たす必要がある場合、供給の制約が発生する可能性があります。
●耐久性の制約
リジッドフレキシブル基板は、リジッド部分とフレキシブル部分が接合されているため、接合部分が弱点となります。長期間の使用や高い曲げや折り曲げの繰り返しにより、接合部分の劣化や断線が発生する可能性があります。耐久性の要件が厳しい場合には、設計や素材の選択に注意が必要です。
リジッドフレキシブル基板は、小型化、高信頼性、過酷な環境下などでの仕様の要求がある場合には、その優れた特性を生かすことが出来ます。また、特定の要件に適しており、多くの利点を提供しています。設計と製造の複雑さやコストなどの制約を考慮しながら、利用する目的や環境に適した選択を行うことが重要です。
基板間のコネクタレス、基板の小型化、複雑な形状、インピーダンスコントロール、ノイズ対策など、さまざまな仕様に対応することができます。使用例として下記のものがあります。
●携帯電話やスマートフォン
スマートフォンの内部には、コンパクトで高性能な基板が必要です。リジッドフレキシブル基板は、複雑な回路を収容しながら、スマートフォンの小型化と信頼性を実現するのに適しています。
●ノートパソコンやタブレット
薄型のノートパソコンやタブレットには、曲げやすく薄型で軽量な基板が求められます。リジッドフレキシブル基板は、高性能と柔軟なデザインを実現するのに適しています。
●デジタルカメラ
デジタルカメラの内部には、イメージセンサーや信号処理回路などが複雑に配置されています。リジッドフレキシブル基板は、複雑な形状と高速データ転送を可能にするために使用されます。