信号はGNDと近くで結合していることで安定します。信号配線を流れる電流の発生する磁界と、GNDをリターン経路として戻る電流の磁界とが、きれいに順方向に結合する。つまりは、信号とGNDとのループが小さくなること、リターンパス経路が近くで整っていること、が良いことになります。
リターンパスが乱れるようなGNDのスリットやGND分離があると、磁界が乱れてコモンモードノイズが発生しやすい状態になります。このコモンモードノイズがEMIを悪化させる最大の要因だとも言われています。ですから、信号の隣の配線や隣接層をGNDにしてリターンパスを正しく確保するような配線が優秀なプリント基板設計です。
しかし、全ての信号でそれをやることはとうてい無理な話ですから、高速信号を最優先して実施する事になります。高速な信号になるほど信号配線の直下をリターン電流が流れようとするそうです。高速信号の隣接層がべたGND層になるように、配線する層や全体の層構成を考える必要があります。高速信号ばかりを扱うプリント基板では、1層おきにGND層になっている基板も少なくはありません。
次回は、両面基板のGND