anδ(誘導正接)は、コンデンサの性能を表す特性で重要な要素の一つです。
tanδはコンデンサ内部で消費されるエネルギーを表す特性の一つで、所定周波数の正弦波電圧で生じる電力損失を無効電力で割り計算され誘電損失とも呼ばれます。
この損失は、理想的なコンデサであれば交流電圧を印加した場合、電流の位相は90度進みますからコンデンサ内での電力はゼロで損失がありませんが、実際のコンデンサは下図のような等価回路となっております。
この場合、誘電体に加えた電界が時間的に変化した場合、誘電体の抵抗成分(ESR)によって電束密度変化が遅れます。この遅れによって電流の位相は δ だけ遅れます。
この遅れによって電圧と電流の位相差が90度でなくなる為、コンデンサ内での電力損失が発生します。この損失を誘電損失といい δ を損失角といい、損失角δの正接を誘導正接 tanδと表します。
実際には等価直列抵抗(ESR)による損失、等価直列インダクタンス(ESL)による損失などの損失の全てを含めてtanδで表します。この値が小さいほど、損失による発熱等の少ない優秀なコンデンサといえます。
等価回路のコンデンサの容量成分C以外の成分、ESRとESLは誘電体や電極などの損失による抵抗分(ESR)と、電極やリード線などによる寄生インダクタンス分(ESL)となります。
また、アルミ電解コンデンサは電解液の抵抗分と電解紙の抵抗分とその他の接触抵抗分等があるため等価直列抵抗分(ESR)は大きくなります。
データシートによっては損失係数(D)で表す場合もあり、関係は下記のようになります。
損失係数D = tanδ = ωCR
各コンデンサのtanδは電解コンデンサが大きく温度補償用セラミックコンデンサやマイカが小さくなります。