プリント基板技術者のつぶやき

大電流関係

「120A」を流す基板の設計(銅箔厚)

厚銅基板 設計・実装サービス

今回からは、実践編としてメインラインに120[A]を流す基板を事例に、大電流基板の設計をご紹介したいと思います。

今回の事例では120[mm]×120[mm]の基板サイズで大電流基板の設計(銅箔厚)について説明をしていきます。

大電流基板の設計で最初に確認しなければならない項目は基板の銅箔厚です。一般的なプリント基板の銅箔厚は18[um]や35[um]で、35[um]の場合はパターン幅1[mm]に1[A]程度流せるという大雑把な考え方で、温度上昇はあまり考えられていない目安となる基準があります。

この普通の基板で120[A]が流せる経路を設計しようとすると単純にパターン幅が120[mm]必要となり、予定していた基板サイズ120[mm]×120[mm]では全面パターンとなってしまいます。

基板サイズ120[mm]×120[mm]での全面パターン設計
図1 銅箔厚=35[um]の場合

 

銅箔厚を2倍の70[um]に変更した場合は、パターン幅1[mm]に流せる電流量も2倍となる為、パターン幅を60[mm]まで縮小させることが出来ます。

銅箔厚が70[um]の場合の設計
図2 銅箔厚=70[um]の場合

 

しかし、銅箔厚を70[um]に変更し、パターン幅を縮小したからといっても基板の半分がパターンとなっている状態では、電流経路パターン以外の構成要素(部品やその他の信号線)を全てこの120[mm]×120[mm]の枠の中に詰め込むことは困難だと思います。

多層基板にして各層に大電流経路を分散させる事で、パターン幅自体は更に縮小出来ますが、無駄な配線経路と層間接続用のビアが増えてしまうという問題も生じます。

ここで銅箔厚を厚銅基板と呼ばれる基板の銅箔厚へ変更してみます。今回は銅箔厚300[um]と銅箔厚400[um]の2種類を事例に挙げたいと思います。

銅箔厚が300[um]の場合はパターン幅1[mm]に10[A]程度流せます。なので、パターン幅は12[mm]確保できればOKとなります。

銅箔厚が300[um]の場合の設計
図3 銅箔厚=300[um]の場合

 

一方、銅箔厚が400[um]の場合はパターン幅1[mm]に12[A]程度流せます。なので、パターン幅は10[mm]確保できればOKとなります。

銅箔厚が400[um]の場合の設計
図4 銅箔厚=400[um]の場合

銅箔厚を300[um],400[um]のどちらかを設定すれば、120[mm]×120[mm]サイズの枠の中で部品配置や他パターンを配線出来そうなイメージが出てきました。

次回は銅箔厚を300[um]と400[um]に設定して進めて行きたいと思います。

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