前回、120[A]の電流を流す経路の銅箔厚とパターン幅の関係を説明し銅箔厚を300[um]または400[um]のどちらかで大電流基板を設計することにしました。
今回は、この300[um]や400[um]の外層の銅箔厚が厚い基板の部品選定の注意点を説明します。
普通の銅箔厚【35[um]】のプリント基板では、パターン幅=0.2[mm],パターン間隔0.2[mm]など値が小さくても基板を製造することが可能です。
銅箔厚が厚くなると、基板のパターン幅とパターン間隔も比例して大きくなることが一般的です。
今回の事例の300[um]や400[um]の厚銅場合のパターン幅とパターン間隔の最小値はどうなるかというと下記のような値となります。
銅箔厚=300[um]:パターン幅=0.6[mm]/パターン間隔=0.6[mm]
銅箔厚=400[um]:パターン幅=0.8[mm]/パターン間隔=0.8[mm]
このパターン幅とパターン間隔の値と部品選定がどのような関係性があるかを1005サイズのチップ部品と1608サイズのチップ部品を用いて紹介します。
まず、図1はアート電子で基板設計に使用している
1005サイズのチップ部品シンボルデータです。
図1 :1005サイズのチップ部品のPAD寸法
チップ部品を搭載する取り付けPADのサイズは0.6[mm]×0.6[mm]でPADとPADの間隔は0.4[mm]です。
普通の銅箔厚【35[um]】の基板なら何も問題無く使用可能な部品ですが、銅箔厚=300[um],400[um]程度の銅箔厚まで厚くするとこの1005サイズのチップ部品が使えなくなってしまいます。
理由は銅箔厚=300[um]は最小のパターン幅とパターン間隔が0.6[mm]だからです。
PADのサイズは0.6[mm]×0.6[mm]で最小パターン幅ギリギリの値ですが、パターン間隔【PADとPADの間の距離】が0.6[mm]を下回ってしまっているので基板製造をすることが出来なくなってしまいます。
よって銅箔厚=300[um]の時のチップ部品で使用できる最小サイズの部品は1608サイズの部品になります。
図2はアート電子で基板設計に使用している1608サイズのチップ部品シンボルデータです。
図2:1608サイズのチップ部品のPAD寸法
チップ部品を搭載する取り付けPADのサイズは0.7[mm]×0.8[mm]でPADとPADの間隔は0.8[mm]です。
1608サイズならパターン間隔【PADとPADの間の距離】が0.8[mm]なので銅箔厚=300[um]の基板でも使用することが出来ます。
銅箔厚=400[um]の場合は更に大きい2012サイズのチップ部品が最小サイズとなりそうです。
このように、使用する銅箔厚によって部品を搭載する取り付けPADのサイズの大きさや間隔に制約が出て来るので今回の事例はチップ部品でしたが、
ICやFETによっては取り付けPADがこの制約の都合上作る事が出来ず部品を基板に搭載出来なくなることがある為、部品を選ぶときには注意が必要となります。
次回からは銅箔厚=300[um]の事例に的を絞って話を進めたいと思います。