前回と前々回は、厚銅基板のパターン幅を工夫することで基板の小型化する方法をご紹介しました。
今回は、今までの話の流れを少し変えて内層厚銅基板に関してご紹介したいと思います。
前回までは120[A]を流すことが出来るように銅箔厚300[um]外層厚銅基板に関してお話をしてきましたが、銅箔厚300[um]外層厚銅基板の最小パターン幅とパターン間隔は下記のようになります。
銅箔厚=300[um]:パターン幅=0.6[mm]/パターン間隔=0.6[mm]
上記のパターン幅=0.6[mm]/パターン間隔では例えば、回路制御用の100ピンのQFPタイプのマイコンなどは搭載ができません。
しかし、どうしても1枚の基板で完結をさせたいという方も居ると思います。1枚で完結させたい場合には厚銅の層を外層ではなく、内層に設定する方法もあります。内層厚銅基板の層構成例を図1に示します。
図1:内層厚銅基板の層構成例
図1のような層構成ならば、外層銅箔厚(L1層,L4層)が普通の基板と同じ35[um]なので、最小パターン幅0.2[mm]/最小パターン間隔0.2[mm]でも問題ありません。
よって、図1の層構成では、部品の足の間隔が狭い部品でも搭載が可能となります。レイアウトのイメージとしては、外層(L1層,L2層)で信号線の配線を完結させて、内装で大電流の配線をするイメージとなります。
この層構成で注意しなければいけないのが、外層(L1層、L4層)と内層(L2層とL4層)の銅箔厚が異なるので、電流許容値も異なる点です。内層厚銅基板の層関係図を図2に示します。
図2:内層厚銅基板の層関係図
図1の層構成で10[A]が流れる経路を設計したとします。外層(L2層,L3層)は1[A/mm]で内層(L2層,L3層)は10[A/mm]となるので図2のように配線を内層から外層スイッチした時に電流許容値を満たすパターン幅を設定しなければいけません。今回の10[A]の例だと外層は最低パターン幅10[mm],内層は最低パターン幅1[mm]となります。
この内層から外層スイッチした時に外層も内層と同じパターン幅1[mm]で設計してしまうと、外層は銅箔厚35[um]なので1[A]しか許容することが出来ない配線に10[A]流てしまうので、容量オーバーとなり、この経路は発熱やパターンの断線、最悪、基板の発火など、事故に繋がる危険性があります。
また、スルーホールの数も各銅箔厚に対応した数を設置する必要があるので、内層厚銅基板は大電流の経路を配線しつつ、回路制御用のマイコンなど、部品の足の間隔が狭い部品も1枚の基板に搭載することが可能となりますが、
場合によっては、大電流が流れる経路層のスイッチの補強などで基板サイズが大きくなってします可能性があります。