プリント基板技術者のつぶやき

高速信号関係

表皮効果

プリント基板パターンが高周波信号波形をなまらせてしまう理由の2つ目になる表皮効果について説明します。

高周波電流が導体を流れる際に、相互インダクタンスによる影響で導体表面に近い所に多く流れて導体の中心付近にはあまり流れない現象を表皮効果と言います。

導体の中心付近では相互インダクタンスによって発生する逆起電力により電流が流れにくくなるわけです。

電流が流れる配線を細い配線の束だとイメージして下さい。

その中の1つの細い配線を見た場合に右ネジの法則で配線の周囲に右回りの磁界が発生しますが、周囲の細い配線の同様の右回りの磁界が反対方向に作用するため磁界を妨げる方向に働きます。

この磁界を妨げる作用が電流の流れを妨げる作用になってしまうため電流を流れにくくしてしまうのです。

配線導体全体の外周近くは導体の外側が外気や絶縁体なので、周囲の細い配線が少なくなって電流を妨げる量が減るために導体表面に近い所に電流が流れやすくなるのです。

断面が四角の配線導体の場合は、四角のカドがいちばん影響を受けにくいためにカドの付近に電流が集中します。

信号の高周波成分ほどこの表皮効果が顕著になるため、高周波成分に対しては配線導体の断面積が小さいのと等しく、高周波信号に対する導体抵抗値の大きい配線になるため信号波形をなまらせてしまいます。

その抵抗値は周波数の 1/2乗に比例して増加します。

通常は周波数が高い信号で問題になる表皮効果ですが、周波数が 50/60Hz と低い商用電源でも伝送距離が非常に長く電流が大きいために大きな問題になるようです。

電源伝送ケーブルを被覆の付いた細いケーブルの束にする事によって表皮効果の影響を減らしているそうです。

プリント基板パターンの誘電体との接合面は基板製造時に誘電体であるプリプレグとの密着接合が良くなるように黒化処理を施してザラザラにしてあります。

高周波電流が流れる時に表皮効果でザラザラな表面を流れるために特性が悪化してしまいます。

このため、黒化処理をしないなどの製造方法で高周波対応基板を作ったりもするそうです。

 

次回は、ビアスタブについて

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