プリント基板パターンが途中で途切れて開放端になっているものを「スタブ」と呼びます。
開放端部分は長さが 1/4波長になる周波数で共振を起こして、その周波数の信号レベルが 0 になるという周波数特性を持ちます。
特に高周波信号を扱うプリント基板では周波数特性を悪化させる事になるため、安全のためにも小さなスタブさえ作らないようにする必要があります。
RF回路設計などでは、プリント基板パターンの線路上にスタブパターンを作って
周波数フィルタ(BEF)を形成させて特定の周波数信号を取り除いたりする事もあります。
プリント基板のビアによって出来るスタブをビアスタブと言います。
見落としがちですが、表層から内層パターンにつながる貫通ビアでは、その内層から反対側の表層までの残りのビア部分が信号経路から飛び出した形でスタブ形状になってしまいます。
貫通ビアで内層に配線をつなぐ場合は必ずビアスタブが出来ていますので、数100MHzからGHzレベルの高速信号でビアを通らなければならない場合は表層から表層への配線にするべきです。
可能であればビアを通らないようにした方が良いでしょう。
高速配線ばかりを扱う用途のバックプレーン基板などでは、どうしてもビアスタブになる配線が多く出来てしまうためにバックドリル手法を使う場合があります。
バックドリルとは、スタブ部分のビア内壁銅めっきをビア穴径よりも径の大きいドリルで削り取る追加工をする事によってビアスタブが削れて特性改善する方法ですが、かなり高い加工精度が必要なため簡単ではありません。
ビアごとに表層面から何umの深さまでドリルで削るかをグループ分けして示した穴図を作って追加工してもらいます。
ドリルでミクロンレベル精度の寸止め加工をするわけです。
次回は、Sパラメータについて