プリント基板技術者のつぶやき

高速信号関係

インピーダンスマッチング

電気回路の配線線材やプリント基板パターンなどの信号伝送線路は特性インピーダンスと言う特性数値を持ちます。

半導体デバイスの入力や出力にもインピーダンスの数値があり、伝送経路や電気回路ブロック内で特性インピーダンスを全て同じ値に合わせる事をインピーダンスマッチングすると言います。

インピーダンスマッチングのメリットは何かと言うと、出力-伝送路-入力 と言う信号の伝達経路において全てのエネルギーが無駄なく伝達するためにロスの無い信号伝送状態ができあがります。

インピーダンスマッチングしていない場合は、マッチングしていない端点でエネルギーの反射が起こるために一部の信号が出口方向に戻り、伝送路で遅延したその信号が伝送信号の元波形に混ざる事によって起こる信号波形の乱れや信号伝達ロスの波形劣化が起きてしまいます。

高周波信号回路になればなるほど信号波形の乱れや劣化の特性に対する影響が大きいためにインピーダンスマッチングする回路が増えてきます。

50Ωインピーダンスや 100Ω差動インピーダンスとかは、インピーダンスマッチングする系の代表例です。

しかしながら、100MHz以下のような通常のデジタル信号回路ではインピーダンスマッチングさせている回路はほとんどありません。

なぜかと言うと、インピーダンスマッチングをするには専用の特別なデバイスやプリント基板パターンのインピーダンスコントロール指定などが必要になってくるからです。

通常のデジタルIC出力は 10~数10Ω、プリント基板パターンは 30~80Ω程度、デジタルIC入力は 数100k~数MΩのインピーダンスになります。

低い周波数の信号ではインピーダンスマッチングしていなくても動作に大きな影響が無い場合が多く問題が起きにくいのですが、クロック信号や 100MHzに近い信号やそれ以上になってくると誤動作を引き起こす問題が発生する場合が多くなります。

そういった状態を回避するために、簡単に擬似的なインピーダンスマッチングをする事ができます。

その方法が、直列終端(ダンピング抵抗)や並列終端です。

直列終端はデバイス出力側に直列に抵抗を追加して出力特性インピーダンスを大きく見せかける方法で、並列終端はデバイス入力側のGND間に並列に抵抗を追加して入力特性インピーダンスを並列抵抗で小さくするものです。

それぞれ、特徴やさまざまな方式があるため別コラムで解説します。

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