半導体デバイス出力のドライブ能力(駆動能力)とは、出力にどれだけの電流を流す事ができるかという能力の大きさになります。
ファンアウトと言う言葉がありますが、これはどれだけの数のデバイスを接続する事ができるかという出力の強さを表します。
接続するデバイスの種類によって接続可能な数が変わってきますがドライブ能力と同等の意味合いになります。
ドライブ能力の大きいデバイスは出力インピーダンスが小さく、ドライブ能力の小さいものは出力インピーダンスが大きくなっています。
ドライブ能力を表す場合に○mAタイプと言う場合があり、だいたい 4mA ~ 32mA で表されています。
3.3V標準ロジックICで言うと、74LVシリーズは 6mA, 74LVCシリーズは 24mA, 74LVTシリーズは 32mA と、同じ回路機能でもシリーズ違いでドライブ能力が大きく違います。
CPU-IC の出力ポートなどはだいたい 4mAレベルかそれ以下のドライブ能力で、大規模FPGA などでは 4mA ~ 24mA の種類から端子ごとに設定できるようになっています。
標準ロジックでよく使われる 74LVC と FPGA の出力デフォルト設定は双方とも 24mAタイプですが、24mAの大きさで接続先が1つだったり配線が短い場合にはドライブ能力が強力すぎてほとんどの場合にオーバーシュートが出ますので、ダンピング抵抗の追加が必要になってきます。
ドライブ能力を 4mAや 8mAレベルのデバイスにすればダンピング抵抗が要らない程度の波形になる可能性もあります。
逆に、接続する入力デバイスが多数あって、さらにプリント基板配線が長いなど負荷の大きい要素がある場合は、ドライブ能力が大きくないと波形がなまってしまいます。
近年は信号の高速化に伴って、ドライブ能力が大きいデバイスが増えて来ています。
ドライブ能力が大きくないと信号の急峻な立ち上がりや立ち下がりが出来ないからです。
一方で、省電力の方向性でドライブ能力の小さいデバイスもあります。
デバイスを選ぶ場合にそのドライブ能力を意識して選定しないと、回路に合わない物になっているかもしれません。
大は小をかねる のように、ドライブ能力不足はデバイスを変えなくてはならないですが、ドライブ能力が大きい場合は適切なダンピング抵抗を接続する事で良い設計が出来る事が多いです。
ですが、ここでダンピング抵抗を付けなかったり、適当な値(例えば全部 22Ω)にしていたりすると、場合によっては激しいオーバーシュートが出ているかもしれません。
オーバーシュートは隣接信号にクロストークしてしまったり、電源を汚くしたり、EMIのレベルを上げてしまったりと良い事は何もありません。
昔はダンピング抵抗値を決めるために何10個もカットアンドトライで抵抗を付け替えながら波形測定をして決めて行きましたが、
最近では SIシミュレーションで簡単に計算できるようになっています。