電源は、電子回路の心臓に当たります。
そして、スイッチング周波数はスイッチング電源の脈拍に相当します。
最近のトレンドとしてスイッチング周波数が数MHzへ高速化する傾向がありますが、高速化にはメリットもデメリットもあることを理解してスイッチング周波数を設定する様に心がけましょう。
<スイッチング周波数と電源の特性>
・スイッチング周波数が速くなるとノイズの周波数も高くなる。
スイッチング周波数が高くなると、リップル・ノイズもスパイク・ノイズも周波数が高くなります。周波数が高いほどノイズ(EMI:エミッション)が空中や電線路からが漏れやすくなります。
スイッチング電源関係のノイズは電流が大きく強力なため、スイッチング周波数が高いほどノイズ対策が難しくなります。
・スイッチング周波数が高くなると効率が低下する。
スイッチング周波数が高くなると、FETやトランジスタをスイッチする回数が増えます。スイッチを動かした分だけ効率は低下します。
・スイッチング周波数が高くなるとコストがかかる。
FETやトランジスタが高速で動作する必要があり、良い特性の物が必要になります。
また、素早く出力段や入力段のコンデンサへ充放電する必要があり、内部抵抗(ESR)の低い充放電のストレスに耐えられるコンデンサを必要とします。
ここ迄はスイッチング周波数を高くすると生じるデメリットです。
以下がメリットになります。
・スイッチング周波数が高くなると電源が小型化する。
スイッチング電源は電荷貯めて吐き出します。スイッチング周波数が高いと一度に貯めておく電荷が少なくなり、スイッチに流れる電流,コイルの電流容量,入出力段のコンデンサ容量を抑えられ小型化出来ます。
・スイッチング周波数が高くなると応答性が良くなる。
スイッチング電源は電圧を一定に保つため、スイッチのオン時間を出力電圧の変化を見て調節しています。
負荷電流の急激な変動に対して、出力電圧の変動をフラットに保つ特性を応答性と言います。
スイッチング周波数が高いと細かくスイッチのオン時間を調節出来ます。
まとめると下記になります。
・低ノイズにしたいならスイッチング周波数は抑える。
・スイッチング周波数が高くなると効率が悪くなる。
・スイッチング周波数を抑えて低コストに押させるテクニックがある。
・実装面積で使い分ける。
・急激な電流変動があり、その影響で生じた電圧変化が負荷の動作に
悪影響を与える恐れがある場合はスイッチング周波数を高くする。
スイッチング周波数が変わると、スイッチング電源は設計し直しになります。
どんな特性を電源に求めるかイメージする癖を付けましょう。
次回は、出力段のコンデンサ選定方法です。