●”EMS”の本質は規格にあらず
前回のおさらいから入ります。
EMIの場合は、周辺機器に迷惑になるので法規制で排除されます。
EMSの場合は、国際標準と言って良いIEC61000-4シリーズがありますが、特に規制は無く試験方法を標準化しただけに過ぎません。
●EMS耐性不足 = 動作不良&機能低下
では耐性が無いとどうなってしまうのかを考えてみます。
EMSの耐性が無いと外来ノイズにあてられ破壊,停止,品質劣化が発生します。
・破壊
ノイズによって配線の焼き切れや誤動作で修復不能な故障に至る。
・停止
ノイズによってプログラムやシーケンサーが止まってしまう。
・品質劣化
アナログの入出力にノイズが映り込んだり、
通信がノイズよって一時的に途切れる。
即ちEMS障害は外来ノイズによって引き起こされる動作不良と機能低下です。
当然、動作不良は製品回収やリコールに発展しかねない問題です。
そして、外来ノイズに定形は有りません。
ありふれた現象から様々な外来ノイズが発生するからです。
・摩擦→帯電→静電気
・雷→商用交流電源のサージ
・寿命の来た蛍光灯の明滅→放電による電磁波
・電子レンジ→電磁波
・大型モータ(掃除機,洗濯機)→商用交流電源へのノイズ印加
・ケーブルの並走→電磁誘導によるノイズ拡散
・電気使い過ぎ→商用交流電源の品質劣化
これらは日常何処にでもある自然若しくは人為的現象です。
EMS対策とは、使用される現場で発生する外来ノイズにより、機能を喪失すること無く電気機器を動作させることです。
次回は、電気機器と外来ノイズの関係を掘り下げます。