前回は基本的な基板の製造工程の(1)ドライフィルムラミネート~(4) エッチングまでをご紹介しました。今回からは(5)黒化処理から引き続きご紹介していきます。
(5) 黒化処理
内層の銅箔は表面がツルツルとしているため、このままではプリプレグと密着しません。そこで行われるのが黒化処理と呼ばれる酸化処理です。黒化処理を行うと、銅箔の表面に凸凹を形成できます。
この凸凹がプリプレグの繊維の中に入り込み、まるで船が錨を下ろすかのようにしっかりと密着します。黒化という通り、処理を行うと銅箔が黒くなります。4層基板で、所々が黒い基板があり、これは内層の銅箔に黒化処理を行っているからです。
(6) 積層プレス
4層基板の内層となるコア材には最初から銅箔が上下に貼りついて、エッジングを行い内層パターン形成します。その後、プリプレグと呼ばれる絶縁材料で上下を挟み、その上に銅箔を乗せます。これを加熱・加圧処理するとプリプレグが固まり、4層基板となります。
(7) 穴あけ加工
ドリル加工でスルーホールやVIAホールの穴あけ加工を行います。両面基板はこの工程が最初の工程となります。
(8) メッキ処理
穴あけ加工が終了すると、基板は穴があいた状態になります。しかし、穴があいても内壁は樹脂材が露出していて表と裏は導通していません。メッキ処理は表と裏を電気的に接続させる工程です。
樹脂は絶縁体なので電解メッキ処理が不可能なので、はじめに化学銅メッキを施します。化学メッキは銅メッキが均一に形成きますが、厚く形成できないので続けて電気メッキで銅メッキを厚くつけ信頼性を確保します。スルーホールのメッキ厚は、約25[μm]前後が一般的です。
(9) ドライフィルムラミネート
銅箔にドライフィルムをラミネートし、パターンが印刷されたフィルムを重ね合せる工程です。
(10) パターン露光
露光とは、基板に紫外線をあてるだけの単純な工程です。銅箔にドライフィルムをラミネートし、パターンが印刷されたフィルムを重ね合せて紫外線を当てる処理です。この工程では、外層パターンの形成を行います。
(11) パターン現像
露光によって、ドライフィルムが紫外線と反応して硬化した部分と、紫外線を浴びずに柔らかいまま残った部分に分かれます。現像は、柔らかいまま残った部分のドライフィルムを溶解除去する工程です。
(12) エッチング
パターン形成工程の最後となる処理で、エッチングは現像によってむき出しになった銅箔部分を溶解し、パターンを形成する工程です。エッチングを行い、パターン以外の銅箔をすべて溶解した後も、パターンの上部には硬化したドライフィルムが付着しています。
この硬化したドライフィルムがあるため、エッチングされることなく、パターンが保護されていますが、エッチングが終了したら必要無くなるので、ドライフィルムも剥離させます。
今回は、基本的な基板の製造工程の(5) 黒化処理~(12) エッチングまでをご紹介しました。次回は (13) レジスト塗布から引き続きご紹介していきます。