プリント基板の設計の一般的な知識として
銅箔厚35[um]のパターン幅1[mm]のパターンに流せる電流量は1[A]というものがあります。
パターンであれば、対象のパターンに流れる電流値を把握して、
必要なパターン幅を確保することで、電流量に対するケアをすることができます。
例:パターンに流れる電流値4[A] → 必要なパターン幅4[mm]
しかし、配線層を切り返す為のスルーホール1個に流せる電流量に関してはどうでしょうか?
スルーホールの穴径は電源ブロックや小信号ブロックなどで取り扱うスルーホールの穴径が異なります。
今回はスルーホール1個辺りに流せる電流量について解説したいと思います。
はじめに、パターンとスルーホールに流すことができる電流量を理論的に比較していきたいと思います。
まずはパターンに関してです。
プリント基板の設計の一般的な知識として、
銅箔厚35[um]のパターン幅1[mm]のパターンに流せる電流量は1[A]というものがあります。
この時のパターンの銅箔の断面積はパターン幅X銅箔厚となるので、
1.0 [mm]X35[um]=35X10(-9)[㎡] となります。
ここで、理論上、銅箔の断面積が35X10(-9)[㎡]に対して1[A]流せることになります。
次に穴径:Φ=1.0[mm]のスルーホール1個あたりに流せる電流量を理論的に計算したいと思います。
はじめに、スルーホールのパターン幅を算出します。
スルーホールのパターン幅は単純にスルーホールの円周の長さなのでスルーホールの直径X円周率で計算出来ます。
穴径:Φ=1.0[mm]のスルーホールのパターン幅は
1.0[mm]X3.14=3.14[mm]
穴径:Φ=1.0[mm]のスルーホールのパターン幅は3.14[mm]となります。
次にスルーホールの穴壁の銅箔の断面積を計算します。
スルーホールの穴壁の銅箔厚(メッキ厚)は一般的に10[um]~20[um]程度です。
配線層より銅箔厚が薄くなる為、パターン幅1[mm]のパターンに流せる電流量は1[A]という一般的なルールは適応することができません。
スルーホールの穴壁の銅箔厚(メッキ厚)を平均値の15[um]とした場合の
一般的に基板設計で使用されるスルーホールの穴径で理論的に流せる電流値は上表のようになります。
※あくまで単純な理屈での計算結果なので実際に上表の電流値を許容する訳ではありません。
製作する基板の銅箔の仕様で流せる電流量が異なりますのでご注意ください!!
スルーホールの穴壁の銅箔厚を平均値の15[um]とした場合、
穴径:Φ=1.0[mm]のスルーホールの穴壁の銅箔の断面積は
3.14[mm](パターン幅)X15[um](銅箔厚)=47.1X10(-9) ㎡]
スルーホールの穴壁の銅箔の断面積は47.1X10(-9) [㎡]となります。
先程、理論上、35X10(-9)[㎡]に対して1[A]流せると算出しましたので、比率で流せる電流量を計算すると、
47.1X10(-9) [㎡] / 35X10(-9)[㎡] =1.35[A]
上記のように理論的には、
穴径:Φ=1.0[mm]のスルーホール1個に流せる電流量は1.35[A]程度となります。
基板設計をする時の各穴径のスルーホールに流すことができる電流値は
上表の赤文字の電流値をひとつの目安として設計すると良いと思います。
※製作する基板の銅箔の仕様で流せる電流量が異なりますのでご注意ください!!